皆さんはPoliPoliをご存知だろうか?
PoliPoliは伊藤 和真さん(高69回)が大学在学中の2018年2月に仲間と立ち上げた政治系プラットフォームを提供する会社だ。最近は大学生のスタートアップは珍しくないが、そうした中でも政治系のサービスはユニークなこともあり、政界やメディアからも注目されている。
伊藤さんの東海中学への入学は2011年。中学では野球部、高校ではブレイクダンスに熱中していたそうだが、彼にはもう一つ興味があったものがある。それは俳句。
とは言え俳句の世界はマイナーだ。俳句を投稿出来るサービスも少ない。それならば自分でコミュニティを作ろうと、彼は大学に入ると直ぐに俳句アプリ「てふてふ」(後に毎日新聞に事業売却)を開発してリリースする。
そして大学1年、初めて体験する選挙(2017年衆院選)の時に「政治や選挙って分かりにくいし、イケてない」ことに気付き、翌月の市川市長選挙(2017年)で各候補者の紹介や質問ができるアプリを開発する。これがPoliPoliに繋がっていく。
PoliPoliでは、様々な利害関係の中で社会全体が意思決定をしていくことが「政治」だと考え、その「政治」という“社会の意思決定”をサポートすることこそがPoliPoliの使命だとしている。詳細はPoliPoliのサイトに紹介されているので、ご覧頂きたい。
その具体的なサービスは、政治家が提案する政策に対して、ユーザーが自身の意見・参考事例の紹介・懸念点等のメッセージをその政治家に送ることにより、政策推進に協力することが出来るプラットフォームだ。私も利用しているが、自分の意見が確かに政治家に届いているという実感がある。
さらに政治家に直接会って、他のユーザーと少人数で政策をより良くするための議論に参加出来るサービスもある。
PoliPoli役員のフィードバック会
そんなPoloPoliを率いる伊藤さんを読み解くキーワードがいくつかある。
一つ目は東海で養った「反骨心」と「中二病」
大人をナメてかかり、自分は何でも出来るという良い意味での思い込みだ。東海(特に高校)の放任教育は、こうした考え方をさらに助長し育む傾向にあるが、それは彼にも当てはまる。
中高校時代にはその想いをダンスや俳句にぶつけていたが、それは今も同じ。特に「自分は何でも出来る」という自信?は、PoliPoli運営の原動力でもある。
次に「スピード=直ぐ実行」
例えば大学生活を送るある日、突然ヒッチハイクをしようと思い付いた彼は直ぐ友人に連絡し、数時間後にはヒッチハイクに旅立った。
また選挙がイケてないと思えば、翌月にはアプリを開発して公開した。
現在のPoliPoliにおいても、ユーザーからのフィードバックは直ぐにシステムに反映している。
気心の知れた仲間と作った少人数の組織と言えど、このスピード感は揺るぎないポリシーがなければ出来ないことである。
そして「柔軟性」
PoliPoliはサービスを開始して2年だが、「社会の意思決定をサポートすること」をテーマとしながらも、その内容は少しずつ変化している。ユーザーからの反応が薄いと思えば、当初の計画にこだわることなく柔軟に方向性を変更して、よりユーザーのニーズに合ったサービスを模索し続けている。
最後にとても重要な要素である「人との出会い」
実は先に紹介したヒッチハイクの時、たまたま乗せてもらったドライバーの方の縁で最初の出資者に繋がったそうだ。この出会いが無ければ、PoliPoliの立ち上げは違う形になっていたかもしれない。
PoliPoli立ち上げ以降は、アンバサダーと呼ばれるサポーターや他の起業家とも積極的に交流し、彼らとディスカッションしながらサービスを構築している。
そしてPoliPoliはユーザーはもちろん、政治家からの政策提案がなければ成立しない。そのために驚くほど多くの政治家に直接会って登録を呼びかけている。政治家もそれに応えてくれている。今更書くまでもないことであるが、どれ程ソフトやシステムが優れていても、やはり最後は「人」なのだ。
現在の伊藤さんは、PoliPoliを盛り上げて広めることに、そして少しでも多くの人に実際に使ってもらう活動に注力している。(あと大学生としての学業も…)
課題の一つは、ウェブサイトへのアクセスや登録者は増えているものの、実際の投稿者が少ないことだ。政治系のサービスというと敷居が高いと思われるのかもしれないが、PoliPoliは誰もが参加しやすいプラットフォームを目指している。
東海OBの皆さん、特に政治への興味を持てない若手OB!
まずはPoliPoliにアクセスし、共感する政策があれば投稿してはいかがでしょう?
アンバサダー会
某議員主催の勉強会でのプレゼン
〈 あとがき 〉
現代アートも好きだという伊藤さん。最近のお気に入りはバスキアだそうだ。
バスキアの抽象的であり具象的でもある絵や文字からは、溢れるエネルギーを感じることが出来る。
快活で行動的な伊藤さんの話を聞いていると、彼がバスキアの絵を好きだという理由が分かる気がする。
是非そのエネルギーで日本の政治システムを変える役割を担って欲しい。
【 プロフィール 】
伊藤 和真(高69回卒)/ 株式会社PoliPoli CEO
F Venturesの東京インターンとしてスタートアップ投資に関わった後、2018年春に毎日新聞社に俳句アプリを事業売却。
2020年3月現在、政治プラットフォーム PoliPoliを運営中。 慶應義塾大学3年生。現役学生としてはじめて、九州大学にて非常勤講師をつとめた。
【 関連リンク 】
文責 河尻浩司(高42回)
東海中学校・高等学校 東京同窓会 運営部
E-mail: tokai.tokyo.dsk@gmail.com