Vo.1 新野圭二郎とは何者か?

新野君が何者なのか? 今回インタビューするまで私は知らなかった。

新野君とは今まで懇親会で少し会話した程度の間柄でしかない。しかしその会話の中で、建築という少々マニアックな共通の趣味で盛り上がったことが今回インタビューしてみたいと考えたきっかけでもある。もちろん今回のインタビューのテーマは建築ではない。

 

新野君の活動拠点は東京・日本橋である。愛知県出身の彼が日本橋を拠点とすることになったのは、たまたま家賃が安いという理由で、住居+アトリエ+賃貸スペースとして日本橋に雑居ビルを借りたことが始まりである。

その日本橋で現在もシェアアトリエを運営している彼は、多数のクリエイター誘致に取り組んでいる。しかしそれはほんの一面に過ぎない。本業は地域の人たちと取り組む「まちづくり」である。江戸文化の起点の町である日本橋を地元の人たちと盛り上げ、日本人に日本橋を、そして日本橋を通じて日本を世界に紹介したいと考えている。

 

日本橋は東京の中でも特殊なエリアである。江戸時代は商業の町であり、越後屋(三越)があり金座があった。現在でもその時代から続く老舗が数多く残っている。日本橋周辺の再開発の多くが三井不動産によって行われているのは、その歴史と無縁ではない。そうした老舗の旦那衆や官民含めた様々な業界のクリエイター達と共に日々活動している。なぜ彼が「まちづくり」に取り組むようになったのか? 

 

大学4年時にデザインスクールに進んだ新野君は、当初は実際に作品を創るアート作家として活動していた。しかし彼はある時、アートとは“方法”であり、“パブリック”こそが目的であると気付いた。もっと直接新たな社会を創るパブリックな活動をしたいと考えたのだ。「日本を変えたい!世の中を良くしたい!」と考えたのだ。

 

プロデュースした新たなる公共の実践の場「PUBLICUS」

プロデュースしたアートスペース「NICA」オープニングパーティー(2015年1月)


 

そしてまちづくりに続く次のステップは「教育」。

子供達の未来を創ること、「教育は究極のまちづくり」だと考えている。その活動の一つが、2019年11月29日に日本橋・常盤小学校にオープンした「日本橋歴史アーカイブス」だ。これは彼の5年越しのプロジェクトである。 

インタビューの後日、改めてこの施設を訪問した私は、新野君や居合わせた地元の長老の方から貴重な日本橋の話を聞くことができた。そしてその時、この長老の方から新野君がとても信頼されていることを感じることが出来た。その事実こそ、彼が今までしてきたことの成果を物語っている。

これからも彼が何をしてくれるのか非常に楽しみである。

 

ところでインタビュー中に分かったことであるが、彼とは大学と学部も同じであった。

なーんだ。今度はゆっくり建築や街やアートの話をしよう!

【 ライター自己紹介:河尻 浩司 】

高42回(1990年)卒。理系B群。サッカー部。

中学・高校時代は特に面白いエピソードや事件もなく、日々是平穏がモットー。今はサラリーマン生活を送りながら、時々フラッと海外旅行に行くのが趣味です。さて次の目的地は?